失敗学

スランプ克服・脱出-IV

対処法: 対極が松井型 vs. 羽生型、その中間がイチロー型 通常は好不調の要因を自分の内部に求める。しかし、羽生さんは内的要因だけでなく、外的要因にまで言及。しかも、通常は直接操作できない外的要因のほうが対応しやすいとの感覚。「この形には絶対も…

スランプ克服・脱出-III

内的要因と外的要因: 羽生義治 棋士「時間の経過と共に生ずるズレを自覚」 戦型の流行り廃りが激しくなっている現代将棋では、自分の体調の良し悪しとは関係ない部分も重要。例えば、流行っている序盤の形が自分の将棋とうまく合っているかどうかなど。変化…

スランプ克服・脱出-II

自己変革: 50歳を目の前にして、悲願の名人位を獲得した米長邦雄「既存概念を捨てれば道は開ける」 長所を伸ばすこと、あるいは欠点を見ないこと。「まさかあんな相手に負けるとは・・・」と落ち込んでいるときこそ、勝った将棋を並べ「俺は強いんだ」と鼓舞…

スランプ克服・脱出-I

スランプとは 運動、勉強、仕事などの作業とは、見る・聞く・感じるなど感覚系学習によって得た入力情報を、手足・言葉・文章など運動系学習によってうまく出力できるかどうか、「インプットとアウトプット」の関係。これら入力・出力のうまい人々が、いわゆ…

老害を防ぐ「いぶし銀の叡智」

生きがい・働きがいに関連して、事業成功者が陥りやすいワナのひとつ、老害。それは、ある種の自己実現の変形。事業と趣味が混同して起こる悲劇ともいえる。心理学の視点から、老害を防ぐ「いぶし銀の叡智」を紹介。 老害とは 心理学的に見ると、幼い頃から…

戦後復興 VIII

Slide 34 サブプライム問題の資金供給源となった過剰流動性。1993年以降、外貨準備高の伸びが貿易を陵駕。アメリカのドル紙幣 (米国債) を外貨準備高として積み上げ、自国通貨を低めに誘導し、貿易産業を保護した国々とは・・・。 Slide 35 それは日本と中国…

戦後復興 VII

Slide 31 中国も設備投資が主役。しかし、その資金源は、日本の貯蓄とは異なり、海外投資(海外からの借金)。一方、消費が30%台とかなり低いのは、所得格差に起因。 Slide 32 膨大な人口を背景とした安い人件費を土台にする中国。その体系の本質は、ただの…

戦後復興 VI

Slide 29 経常収支の内訳で、2005年以降、所得収支が貿易収支を上回り、日本はもはや「貿易立国」とはいえない状況。政府(諮問会議)も2030年には貿易収支が赤字に転落すると予想。貿易立国から金融立国へどう転換を図るか。 Slide 30 政・官・民 三位一体…

戦後復興 V

Slide 24 日本は、文化にマッチした戦略、プロダクト・イノベーション(新製品開発に関するイノベーション)ではなく、プロセス・イノベーションに特化した高品質・低価格路線が奏功。 バリューを生み出すには、新しいものを「加える」か、ムダを「除く」か…

戦後復興 IV

Slide 20 輸出依存度はイメージより高くないよということを示した図。 Slide 21 06年だけ特別だったのではとの反論に、時系列で反論。改めてオイルショックまでの高度成長期の推移を見ると、輸出の伸びはGDPと同じ。輸出主導の時期は、オイルショック以降か…

戦後復興 III

Slide 11 実質消費が2倍になるまでに英米は20-30年を要した一方、日本はそれを10年で達成。その原点は、朝鮮戦争により消費水準が戦前の水準に戻った1955年以降。 Slide 12 国民皆を豊かにして、3種の神器 (白黒テレビ, 洗濯機, 冷蔵庫) や3C (Color TV, Co…

戦後復興 II

Slide 10 もうひとつの隠れた要因が「低賃金」。 急成長過程における大きな問題のひとつが、インフレーション。大きく分けるとコストプッシュインフレーション、ディマンドプルインフレーション、両者混合型の3つ。現在の中国に当てはめると、コストプッシュ…

戦後復興 I

日本人にとっての下記3大課題。中でも外国人の関心が高い「戦後復興」と「バブルの処理」について、先日、Biz School の同級生や教授陣に対して行い好評だったプレゼン。大局的視点から本質にせまったプレゼン資料は、下記からダウンロード可。最後のページ…

長期的視点とダム経営 II

ダム経営 「ダムのように内部留保を貯め、資金ショートしないように備える」という松下幸之助のじいちゃんの有名な経営理念。ある講演会で、聴衆から「ダム経営の理念は分かったが、具体的にどうやったらできるのか」との質問に対し、幸之助のじいちゃんは一…

長期的視点とダム経営 I

会計学の授業で扱ったケース、建設・鉱山・産業機械メーカーの老舗Harnischfeger社。シクリカル業界特有の低迷が長期化。1982年に倒産寸前まで追い詰められたが、2年後の84年に大幅黒字を計上。見事再生を果たし、その後も好決算を発表。88年には時価総額が8…

Network Externality

ネットワーク外部効果(ネットワーク外部性)とは、ネットワーク的な性質を持ったサービスや製品における経済的特性のひとつで、「利用者が増えれば増えるほど、そのサービスや製品の利用者全体の利益・利便性が向上する」、という特性。Externalityとは経済…

東芝の敗因II

容量の意義 過去の戦いの教訓として、「似たような時期に似たような商品が出た場合、容量の大きいほうが最終的には勝つ」という法則。それが今回も当てはまった。 ビデオデッキ: VHS vs. ベータ戦争 VHSの勝因として、ファミリーメーカー数が多かった、レン…

東芝の敗因I

以下3つの主要因について考察。 ワーナーの鞍替え 小容量 $99という価格設定 なぜワーナーはBD陣営に寝返ったのか? 規格が一本化されず、HD-DVD とBD 勢力が拮抗している状況下では、関ヶ原の合戦同様、消費者を含む利害関係者の多くは傍観者で、下図Aの状態…

東芝HD-DVD撤退

固執の原因: 東芝 vs. ソニー 既存DVD規格の権利を持ち、その延長上に新しい規格を作り上げたい東芝 (HD-DVD陣営) と、新しい技術で新規格を狙うソニーなどBlu-ray Disc (BD) 陣営との固執。旧式の技術の延長にある新規格と、新しく技術を擁立した新規格との…

日本の選択

現状 製造業が現地生産を増やしているため正確ではないが、業種別GDPシェアと経常収支の推移をみると、製造業は衰退傾向。とりわけ海外投資から得られる利息・配当の所得収支が、貿易立国のシンボルである貿易収支を上回ったことで、実質、貿易立国から投資…

オイルショックからバブル絶頂期(成長鈍化要因)

賃金上昇: 60年代後半から労働力不足により人件費急上昇 円高圧力: 71年に360円から308円へ、73年には変動相場制へ、85年のプラザ合意で250円台から87年には120円台へ オイルショック: 固定費の削減(有利子負債の削減による銀行離れ)、雇用調整で人件費削…

なぜ戦後の高度成長が可能だったのか?

敗戦からオイルショックまでの高度成長期 外部要因 冷戦下の国際情勢: アジアにおける共産主義への防波堤として経済復興をバックアップ 戦争特需: 朝鮮戦争やベトナム戦争特需 固定相場: $1=\360が1949-1971年まで継続 内部要因 割安な人件費: 質の向上した…

大企業病 教訓II-中堅幹部からの改革

「トップの経営や方針が誤っていると確信した場合、中堅幹部の立場で何ができるのか」という問い。院政のしがらみに苦しむ現職トップにも当てはまる問題だが、難問のため、長銀で実体験をもつ、箭内 昇さんの言葉を引用。 「まず、胆力を鍛える。そして同志を…

大企業病 教訓I

「名経営者の失敗」から学んだ教訓とほぼ同じことがあてはまるが、大企業であるがゆえの欠陥を追加すると、大企業では悪い情報ほど上がってこないため、耳の痛い話をしてくれたり、広い視点からものを言ってくれたりする外部人脈を豊富に持ち、アンテナを高…

大企業病の本質

不祥事に対する経営トップの謝罪会見でよく耳にする一言、「知らなかった」。実は、「名経営者の失敗」同様、重大事だからこそ、大企業だからこそ、優秀な人材が集まるからこそトップに伝わらない仕組みがあり、そこに大企業病の本質がある。ではなぜトップ…

大企業病-なぜ経営陣は機能しないのか?

彼らの多くがたどってきたエリートコース、「権限は大きいが責任は小さい」、この神秘の中に答えがある。 調整上手な「官僚型」 企画、財務、人事、秘書などスタッフ部門が長く、若いころからトップに近いところで仕事をし、いつのまにか「エース」と呼ばれ…

大企業病とは

大企業病に至る流れ 「大企業病」を検索すると色々な言葉が出てくるが、最終結末である倒産・買収から逆をたどり衰退への大まかな流れを見ると、検索された用語の殆どはその流れの中に納まる。大企業病へのターニングポイントは、成功を収め業界で優位な地位…

企業経営-教訓III

経営者への教訓 経営者本人 客観視→自己否定→自己変革: 他人から学び、失敗は改めようという謙虚な心 失敗を認められない、知らないとは言えない、批判を受け止められない「精神的弱さ」の克服 企業文化の構築 大勢に対し異論を受け入れ・促し、失敗から学び…

企業経営-教訓 II

「初期警告サイン」の見つけ方-外部からの視点(提携・M&A先の選別) 1) 必要以上に複雑な組織や戦略 組織構造が複雑になっていないか? 本来、単純な問題に対し、必要以上に複雑な戦略をとっていないか? 会計手法が過度に複雑、不透明、非標準的でないか? 複…

企業経営-教訓I

現状認識チェックリスト 戦略策定において陥りやすいワナ -優秀であるが故の壮大な目標設定(ときに採算性の合わない戦略、現実離れした構想)、合理性・論理性を欠いた評価、変化への対応の遅れ- から逃れるには、未来の不確実性や情報不足を理由に思考を停…