企業経営-教訓 II

「初期警告サイン」の見つけ方-外部からの視点(提携・M&A先の選別)

1) 必要以上に複雑な組織や戦略

  • 組織構造が複雑になっていないか?
  • 本来、単純な問題に対し、必要以上に複雑な戦略をとっていないか?
  • 会計手法が過度に複雑、不透明、非標準的でないか?
  • 複雑、非標準的な用語を使っていないか?

行動を正当化するため、複雑さを隠れ蓑に利用。M&A後の代名詞=共同CEO体制って?華々しい戦略の魅惑に打ち勝つには、「もっと簡単で効率的な解決策はないのか」問い続けよ。非標準的な会計手法は、実態が見かけよりも悪いことを示唆する警告サイン、なぜそこを強調したいのか、その真意をさぐればたいてい裏側に隠したい部分が潜んでいる。適正価格を大きく上回る株価を無理やり説明するために生み出される評価手法は、バブルの前兆。

2) トップの暴走

  • 経営陣には自社の成長スピードを管理するだけの十分な経験があるか?
  • 経営陣が見過ごしている、小さいが見過ごせない問題はないか?
  • 後で問題に発展する警告を無視していないか?
  • 成功にあぐらをかいていないか?
  • 上級役員の突然の退社はないか?

メーカーの場合はちょっとした品質上の問題、サービス業なら大口顧客を失うきっかけとなる小口顧客の喪失を見落とすな。火のないところに煙は立たず、早期消火が大火事を防ぐ最も合理的手法、起死回生の一発は悪化を招きやすい。M&Aでは契約締結前に解決しておかなかった問題は最後までついてまわる。成功に次ぐ成功には要注意、成功の理由をしっかり自己分析できている企業はまずない。経営上層部の出入りが激しい=経営陣が問題を抱えている強いシグナル。

3) CEOの資質・性格

  • 経歴や才能は全てチェックしたか?
  • 会社とは無関係のことに時間を割きすぎていないか?
  • 経営陣が金の亡者で、不適切な行動をとっていないか?
  • 経営陣がアグレッシブすぎたり、自信過剰で信用できないことはないか?

報酬委員会の回数が監査委員会の回数よりずっと多いなら危険。有名人と付き合いたい症候群には注意、世間向けの顔をつくるのも役割の一つだが、それがライフスタイルになるとたいてい問題が発生。幹部の報酬が企業規模や業績と不釣合いなほど多い会社からは手を引け。破綻した企業には同族経営が多い。

4) 誇大宣伝

  • 期待の新製品、M&A、プロジェクトは期待外れでは?
  • 深刻な問題の予兆となる計画の遅れや目標不達成が最近ないか?

実現できるとは到底思えないほど素晴らしく聞こえるときは、たいてい失敗。仕手筋いわく「経営陣が誇大宣伝をしたときが商売のチャンス」。IR資料などで大げさな言葉で言い立てたり、失敗について自己弁護や正当化がはなはだしかったり、素直に非を認めようとしない連中には注意。