歴史-項目別 II
世代の移行: 閉鎖的・小脳競争から開放的・大脳競争へ
Web 2.0
- 市場: Google 検索 (AdSense/ AdWords) によるロングテール部分の顕在化・拡大化
- 共有: ブログなど情報を共有、SNSにより物理的に出会えない人とのネットワーク
- 衆知: API を公開、オープンソース化によって衆知を集め、世界中の電脳を結集してサービスを構築
Web1.0では、魅力的なサイト(島)を作って集客、島の魅力を競争しあって顧客を囲い込む閉鎖的競争。Amazon は、誰もが島の資源を使ってお金もうけできるよう自らの頭脳部「商品データ」の全てをわかりやすく公開(APIを公開)。それによりAmazonは、何もせず勝手に島の売れ筋商品をわかりやすく表示してくれる強力な多数の営業マンを確保。サポーターの衆知を集め孤島から経済圏へと成長したAmazon、この仕組みから15%の上納金を受け取っていたため、島外営業マンの利益率が島内営業マンを上回る好結果へ。AmazonはWeb 1.0 のネット小売から、Web 2.0 のECプラットフォーム企業、そしてテクノロジー企業へと飛躍。
成功の要因として、全ての人が検索エンジンを利用して目的サイトにたどり着く時代を見越し、上位に検索されることを最優先事項として認識、リンク数を基に優先付けするGoogle検索エンジンに対して、過去の常識をくつがえすオープンソース化戦略「APIの公開」に踏み切った柔軟性に加え、そういう先見性を02年に持っていたことがあげられる。
価格破壊力: ビジネスコストが限りなくゼロへ
- Email: 文書の移動コストゼロ
- IP電話+Skype: 音声の移動コストゼロ
- Flickr+iTunes+YouTube: 写真、音楽、動画の移動コストゼロ
- オープンソース化: ソフト開発コストを限りなくゼロへ (世界中の電脳を結集してサービスを構築)
インターネットの価格破壊力は、物、音声、画像をデジタル化することで、移動コストを限りなくゼロへ。ソフト開発分野においても、これまでは巨額の資金が必要だったが、優れた知的資産をオープンソース化すれば、世界中の電脳が結集してサービスを構築するため、限りなくゼロに近いコストで作成できることが立証。しかも優れた知的資産ゆえ、モチベーションの高い優秀な電脳が自発的に結びついた状況、もしくはAmazonのように参加者も儲かるような仕組みをつくってあげると、一企業の閉鎖的環境の中で開発されるソフトより、優れた製品を生み出す。
残された課題は、人とお金の移動コスト。P2P の分野で人もデジタル化されだしたSNSサービス、今度はB2CやB2Bなどお金儲けにからむビジネス分野で、営業・出張コストなど人と人が出会うコストを限りなくゼロに近づけるサービス合戦が本格化するはず。一方、お金の分野ではMicrosoft, Google, eBayなどが振込手数料や為替手数料の無料化を目指して、ネット上の共通通貨を思索中。コストという名の関所がないネットの上に、人とお金をのせて世界中を自由に行き来する時代へ。
SNS: ハイパーリンクが文書から人間へ/ ドキュメントの集合体から人間の集合体へ
Google はロボットがコンテンツのハイパーリンク数を数えることで情報の信頼性を向上(ページランク)させたが、Facebook やmixiなどSNSの人間関係には使えない。そこで、Facebookが人と人との相関関係図ソーシャルグラフ (Social Graph) を使って、ネット上の人間関係のつながりを数える技術を開発 (Facebook Ads)。ビジネスモデルで紹介した「あなたの友達の魯山人さんが星ヶ岡茶寮という料亭で食事しましたよ」という口コミ伝達システムSNS Social Adsのこと。
この技術により、文書にかかっていたハイパーリンクがバーチャルの世界に住み始めた人間にかかり-> RSS (Rich Site Summary) を使って自ら情報を配信し始めた結果-> 欲しい物がある場合、検索せずとも仲間から自動的に入ってくる時代へ-> ネット上にあふれ出した人間関係を整理して付加価値を生み出す時代へ-> SNSというネットの世界ではドキュメントの集合体から人間の集合体へ