歴史-項目別 I

検索: YahooからGoogle へ/ ポータルからサーチへ

  • 90年代は、ドキュメント情報をデジタル化し、「人間の手」で整理したYahooの時代
  • 00年以降は、無限に増え続ける情報を「ロボット」が整理するGoogleの時代

YahooとGoogleの大きな違いは、「人の介在」の有無によるランク付け。例えば、どちらのサイトにもあるニュース。Googleはネット上のニュースをすべて巡回し、緊急性や重要性をロボットが判断し、優先順位をつけ、自動編集する一方、Yahooは優秀な人の視点で人が編集。専門家や特定の人の見解ではなく、サイトのリンク数をネット市民の声・投票数と考え、リンクという民意を直接反映させることで、Googleは「ネット上の民主主義」を構築。この優先度を決定する技術が、Google の生命線「ページランク (PageRank)」。それゆえ、一般にGoogle はテクノロジー、Yahooはメディアとして区別される。

対象物: コンテンツから人間へ

  • 90年代は文書がデジタル化
  • 05年までは写真、音楽、動画などリッチメディアがデジタル化され、「人間の手」で整理するFlickriTunesなどが普及
  • ここ数年では、デジタル化の対象が文書やメディアから人間に変わり、mixi, MySpace, Facebook などネット上のコミュニティSNSの時代へ。

ビジネスモデル(広告): カテゴリーからキーワードへ/ Segmentation からOne to One へ

  • 90年代はYahooに代表されたバナー広告。例えば、Yahooの不動産カテゴリーに不動産会社がバナー広告を掲載し、不動産に興味のあるユーザーにターゲットを絞った時代
  • 00年以降は、Google の検索連動型配信システム (AdSense/ AdWords) が主流。 ネット広告で副収入を得たい人が自分のサイトをAdSenseに無料登録すれば、検索ロボットがサイト内を自動的に分析し、広告主がAdWordsであらかじめ登録したキーワードにマッチした広告を選んで自動配信。Googleの検索連動型だと、広告効果が高く、小額の予算でも受け付けてくれるので、これまで縁のなかった広告主とサイト運営者など、不特定多数無限大の参加者を生み出す、いわゆるロングテール現象(恐竜の尻尾)が現実化。広告主のロングテール部分とメディアのロングテール部分をマッチングさせ、win-win の構築に成功。
  • 07年に口コミ伝達システムSNS Social Ads (Facebook Ads) が登場。ネット仲間の行動に対し、「○○さんが△△した」と広告配信するシステム。例えば、「あなたの友達の魯山人さんが星ヶ岡茶寮という料亭で食事しましたよ」、「あなたの友達の謙さんが映画「ラストサムライ」を5つ星評価しましたよ」など、信頼度の高い友人の口コミ情報を、言葉を介さず伝達する画期的システム。うっとうしいはずの広告が、同じ目的をもったコミュニティでは有益な情報に変化。

情報資本主義社会: 情報をコントロールしてお金に変えるスキルを持った人が勝ち組へ

製造元と消費者を直接結ぶ中抜き社会 (e.g. ディスカウントストアー、近所の酒屋、蔵元)
  • Pre-Internet: ディスカウントストアーが王様 (近所の酒屋や蔵元は衰退業態)
  • Post-Internet: 蔵元が王様-> 「さよなら楽天さん」

蔵元がGoogleの力を知り、自社製品情報をGoogle検索エンジンにひっかかるように最適化すれば(SEO search engine optimization/ SEM marketing)、検索結果はディスカウントストアーでなく蔵元を表示。つまり情報がお金に変わる時代。今までは物がお金に変わる資本主義社会だったが、ネット時代では情報をコントロールして、お金に変えるスキルを持った人が勝ち組となる「情報資本主義社会」。最終的には、「さよなら楽天さん」現象を引き起こしかねない。

このことはおそらく個人にも当てはまり、自分自身をデジタル化し、Google に最適化し、正しい情報を発信している人がデジタル社会の勝ち組へ。ある意味、これらデジタル人間によるデジタル的企業がネット企業で、その代表例がGoogleFacebook