孫の二乗の兵法 改訂版-II


3. 戦略

1) 一: 圧倒的No.1になれる分野のみ進出、一瞬でもいいからトップに立つと勝つ意欲が芽生え、常に勝ち続ける社風へ-> 負け犬根性の打破

  • 「(漫画家の卵たちを前に) 君たち、一流の漫画家になりたかったら、一流の本を読んで、一流の映画を見て、一流の音楽を聞きなさい。絵を描くテクニックを身につけることだけが、一流になる道じゃないよ - by 手塚治虫
  • 「未勝利の競争馬に対し、ゴール板を通過した後でもムチを入れ続け、全ての馬を抜き去りトップでゴールする気持ち、勝つ喜びを教え込むのも旗手の役割- by 岡部幸雄
  • 「たとえ毎日1%の改善でも、1年続ければ37倍になる- by 三木谷 浩史」-> 常に改善 (different-special-better)
  • 「100mを人より速く走ることは真の競争ではない。だれも分け入らなかった原野に1人分け入り、孤独に耐えて全力疾走すること、それが真の競争だ。 そこには審判も観客もストップウォッチもない - by 石井裕 MIT教授

2) 流: 勢い、潮流、相手の隙に乗じる、好機をとらえ蓄積した力を一気に放出

  • 「今は小さなニッチであっても5年後、10年後に本流、マスマーケットになっていることが重要- by 孫正義
  • 「知恵ありといえども、勢いに乗ずるに如かず- by 孟子

3) 陰: 守、キャッシュフロー経営、コスト削減、出口戦略 (日露戦争 vs. 大東亜戦争)、より害の少ない方策を選択せよ、守りを知る将だけが勝ち残る

  • 「大きな勝負のできる人は大胆ではなく、むしろ慎重であることが多い。大事を成すのは実は臆病な人。勇気と臆病は対立する概念だと考えられているが、そんな単純なものではない。事業をやるためには、両方を持たなくてはならない- by ユニ・チャーム会長 高原慶一郎」 
  • 「ギャンブルで100くらい勝っていた人が、ちょっとしたミスや失敗で50くらいになった場合、ギャンブラーは大きく『ああ、50も損した』と思う破滅型と、『まだ50もある』と思うゆとり型に分かれる。ゆとり型は『まだ50もあるから、もう一度頑張ろう』と思うのに対し、破滅型は『50を取り返さなければ(取り返すには2倍にしなければ)・・・』との焦りから、無理をして不必要なリスクをとって悪循環に陥りがち。終いには借金を背負う羽目に –by 谷岡 一郎 大阪商業大学長」<- ベンチャー失敗の典型
  • 「経験知を活かすには・・・『こうすればうまくいく』というより『これをやったらうまくいかない』ということを、いかにたくさん知っているかが大切- by 羽生善治 棋士
  • 「不思議な勝ちはあるが、不思議な負けはない - by 野村克也 監督」。諸先輩方にも確認したが、「上手くいくのでは」と思っても失敗したケースは多々あるものの、「これはうまくいかない」と言ったプロジェクトで上手くいったケースは皆無。
  • 「米MBAで主流の考えは『利益の最大化』だが、短期で利益の極大化を図ろうと焦るあまり、かえって損失が大きくなりがち。だから、本質は『損失の回避』である。企業は、損失を回避し、リスクに備え企業を存続させるために、利益を生み出さなければならない –by ドラッガー

4) 陽: 攻、勝き易きに勝つ、圧倒的戦力で急所攻撃、幾多の打ち手 (主作戦を支えるいくつもの柱) 

  • 策に三策あるべし (常に3つの代替案を持て)/ 不満を言うな、オプションを考えよ!(受身から能動への転換)
  • 時間差/運動差でかき回し、蒔き餌でおびき出すことで機動的に相手の不備を創り出せ! -> バントをさせない策より、こちらから仕掛けさせる策-わざとバントしやすい球を投げ 野手が進塁を防ぐバントシフト-が効果的。
  • 陽の原動力ともいうべき「欲」、際限のない欲望、陽だけに偏りそれが度を越すと人は身を滅ぼす。ただ、欲を否定しては原動力となるエンジンが機能しないので、私利私欲をある程度認めつつも省み・省く(陰)努力をし、利他の部分も意識して作っていく。とりわけ、本能に根ざす陽が強い人は、陰を取り入れることで相乗効果を生み、陽がより活かされる。陰陽のバランス/相乗効果、調和の中にも変化がある状態。

5) 化: 変化、進化、臨機応変