易経VIII-天の存在

天の存在

1)プラス思考

能力と運の不遇に悩み、苦しみ、極めた瞬間 (窮まれば変ず)、先人たちがたどり着いた答えが心の置き所を変えること「陰->陽」。命に宿る宿命を天命と受け止め、いかなる艱難辛苦にあっても自分を成長させる機会だ、これを乗り越える機会をわざわざ天が与えてくれたのだと、超ポジティブにとらえる陰から陽への心の持ち方。あるいは、どうせなら人生の辛酸というメニューを片っ端からなめつくし、人生をしっかりと味わってみようという肝の据わり方。もう少し簡単に言うと、真のプラス思考とは、客からのクレームを「ありがとう」と思うこと。幸之助のじいちゃんでも「90%はうまくいかない」といっているくらいなので、人生を前向きにとらえる先人の知恵。

  • 「天を楽しみ、命を知る。故に憂えず」-易経
  • 「死生命有り、富貴天に在り」- 論語

人間というのは、常に心配事が多い生き物である。あらゆる努力をした後は(後悔しないような行動をとったなら)、どんな結果であれ、それを天命(宿命)と思って全てを受け入れなさい。「天がこうした方がいいと示してくれたのだ」と勝手に思い込むことでポジティブになれる。

2) 畏れ

天の存在を意識することは、もう一つの難問を解決してくれる。中庸でふれた経営者に必須な2大資質「倫理観(陰)と戦略(陽)」。高い倫理観を掲げたとしても人間は弱いもの。それを克服する一つの考え方が、天が自分を常に見ているという意識をもつこと、または自分を超越した何かに畏れること、それによって自分を律すること「慎独」。

  • 「君子必ず其の独りを慎むなり」-大学