日銀&大蔵-なぜ地価上昇をバブルと認識できなかったのか?

絶対的な土地神話+不動産需要の見誤り

  • 土地神話: 歴史的に見て神話が寓話になる確率は極めて低い(戦後の地価の下落は1回のみでそれもオイルショック後の例外中の例外)=思考停止、最悪の事態を想定し備えを訴える勇気の欠如=事なかれ主義の土壌
  • 虚需
    • 国土庁からの誤ったシグナル: レポートの趣旨は「都心の地価高騰を防ぐためには、首都機能を周辺都市に分散すべき」だったが、レポート内のある一文に対し、不動産会社やゼネコンなど業界側は国土庁側の意図とは逆の方向へ解釈(「東京のオフィス供給は国策になった。都心部の用地をかき集めろ!」=地価上昇は首都圏が中心 vs. 70年代初期の列島改造ブームは全国)
    • 財テク: 銀行-ノンバンク間の迂回融資など、全体像の把握困難(金融機関の全面的協力不可)
  • 実需: 外資系金融機関の進出、経済ブームによる設備投資拡大、団塊世代のマイホーム取得適齢期、地価高騰によるあせり(今買わないともっと高くなる)

実需と虚需が入り混じり実態像の把握が難しいうえ、「もし地価が下落したら」という想定も土地神話という印籠「本当にそんなこと起きる?」の前ではひれ伏すしかなく、問題の本質をつかむのが困難。

反省コメント-日銀

「資産価格の急上昇時、中央銀行は金融政策の運営について二つの異なるリスク、1) 資産価格の上昇が経済実勢に基づくものであるのにバブルと認識し、誤って金融を引き締め潜在成長力を殺してしまう第1種の過誤、2) 資産価格の上昇がバブルであるのに経済実勢に基づくものと誤認し、金融を引き締めず価格上昇の進行を許してしまう第2 種の過誤に直面する。中央銀行が2種類の『統計上の過誤』のいずれを犯す確率が大きいか、事前には正確には分からない以上、金融政策の判断に当たっては、過誤を犯す確率だけではなく、過誤を犯した場合のコストの相対的な評価が問題となる。日本のバブル期の経験に照らすと、中央銀行としては第2 種の過誤は第1 種の過誤に比べ致命的になるということを認識することが重要と言える。」

役所らしい反省コメントだが、要は「崖道で転ぶなら谷側でなく山側に」ということを今回の教訓として学びました、一応反省していますよということ。