素直な心とは

これまで何度もふれてきた「素直な心」。ある意味、経営の神様という悟りの境地から生まれた根本思想ともいえるが、今回はその発案者である幸之助のじいちゃんの定義に私なりの解釈を加えて、「素直な心」の本質にせまった。

松下幸之助語録

定義

「素直な心とは、正直にして寛容な心、我執も偏見も妬みも憎しみもない心、ひろく人の教えを受ける心、分を楽しむ心。かつ静にして動、動にして静の働きある心、真理に通ずる心。素直な心が成長すれば、心の働きが高まりものの道理が明らかになって、物事の実相をつかむ力も生まれるため、真理をつかむ動きのある心、物事の真実を見極めそれに適応していく心、つまり融通無碍(ゆうずうむげ)、ついには円満具足の人格を大成して、悟りの境地にも達するようになります。」

効用

「私心なく真理というか正しいことに従うというところに基本の態度があり、現状にとらわれず、たえず先をみる姿につながる。何事によらず、困難に直面して志を失わず、よりよき道を素直に私心なく考え続けていくならば、そこによき知恵も集まってきて、今まで考えつかなかった画期的な道が開けてくる。個人的感情にとらわれることなく、正しいことは正しい、と素直に判断できるようになる。一つのことにとらわれると、無理が生じやすくなる。悪の存在も素直に認め、いかに悪に対処していくか考えることが大事で、そうすれば必要以上に心をわずらわせることもなくなる」

提言

「私は素直ということを、やかましく言うているんですよ。というのは、自分の体験からいっても、素直な人はいちばんうまく仕事をしますな。この人は素直な人やなと思う人ほど、仕事はうまいですよ。素直な心になればね、やっぱり実相が分かるわけですな。それで、私は標語にしたんです。『素直な心はあなたを強く正しく聡明にします』と。強く正しく聡明になるんや。だから、素直な心がなかったらいかん。」

私の解釈

素直な心=水 (中性&平常) + 感謝 -> 視野 (真実) -> 変化 (対応)

素直な心とは、感謝の気持ちと水の特性を兼ねそろえた状態。そういう心境下では、物事の真理をつかむ眼力が生まれ、変化に対応していく柔軟性へとつながる。判断ミスを犯しやすい心理状態、成功体験にどっぷり浸り過信している時、または艱難辛苦に直面した時こそ、素直な心の状態を保てるよう、常日頃から訓練しなければいけませんよ。

素直な心の内容10ヶ条

  1. 私心にとらわれない: 私利私欲にとらわれることのない心、私心にとらわれることのない心-> もちろん私心は働くけれども、それにとらわれることなく、他の人びとのことも十分配慮する、というような姿になること
  2. 耳を傾ける: だれに対しても何事に対しても、謙虚に耳を傾ける心-> 自分自身の不完全さを自覚すれば、部下からの指摘であっても「天の声」として受けとめられるような謙虚さもうまれる
  3. 寛容: 万物万人いっさいを許しいれる広い寛容の心-> 自分の気に入らない人がいたとしても、その存在を認めて、お互いに和やかにやっていくよう努力する
  4. 実相が見える: 物事のありのままの姿、本当の姿、実相というものが見える心
  5. 道理を知る: 広い視野から物事を見、その道理を知ることのできる心
  6. すべてに学ぶ心: 全てに対して学ぶ心で接し、そこから何らかの教えを得ようとする謙虚さをもった心-> お互いのたゆみなき向上、進歩の姿というものも生まれてくる
  7. 融通無碍: 自由自在に見方・考え方を変え、よりよく対処してゆくことのできる融通無碍の働きある心-> より望ましい、より正しい見方・考え方を求めて変化に対応可能
  8. 平常心: どのような物事に対しても、平静に冷静に対処してゆくことのできる心
  9. 価値を知る: 良いものは良いものと認識し、価値あるものはその価値を正しく認めることのできる心
  10. 広い愛の心: 人間が本来備えている広い愛の心、慈悲の心を十二分に発揮させる心