効果的説得とは-II

3) 視覚化: 「目に見えない」ものをリアルに共感を呼び起こせ!

政府はエネルギー効率を上げるため、無料で家屋検査を提供したところ、申込者は多数いたものの、検査員のアドバイスに従ったのはわずか15%。政府から無利子ローンも提供されたのに。

それは、改善点の殆どが、ドアの下のわずかな隙間や、屋根裏の断熱材不足といった「目に見えない」ものであり、実感できなかったから。そこで、検査員は光熱費の節約を訴える代わりに、「目に見えない」ものを「視覚化・実体化」するように講習を受けたそうな。例えば・・・

「ドアの周りの隙間を見て下さい。たいした問題とは思われないかもしれませんが、この隙間を全部足すと、バスケットボールくらいの大きさになるんです。誰かが、あなたの家にバスケットボールくらいの穴を開けたと想像してみて下さい。きっと穴を防ごうとするはず。これが、目詰材をいれるということ。それに、屋根裏。断熱材が全く入っていないということを、業界用語で「裸の」屋根裏と呼びます。あなたの家は、オーバーコートどころか、何の衣服も着ないで冬を越そうとしているのです。」

「視覚化」により、問題が顕在化され、何かと曖昧になりがちな契約やプロジェクトの進捗状況なども把握しやすくなる。つまり、「共通言語」を生み出すことによって、コミュニケーションを円滑にする。色々な場面で活用できる術。

4) 恐怖アピール

極端な二者択一を迫って、一方へ導く術。

ヒトラーの弁舌を例にすると、「わが国はどこも混乱状態にある。大学は反逆し、暴動を起こす学生で満ち溢れている。共産主義は、わが国を滅ぼそうとしている。ロシアは力で我々を脅かしている。そう、共和制は内外から危険にさらされている。我々には法と秩序が必要だ。これらなくして、わが祖国が生き残れる道はない」。-> だからナチに入党し、投票しなさい

カルト宗教も、天変地異をあおり 信じるものだけが救われると説く。先ほどの家屋検査でも、このままだとちょっとした地震で家が崩れますよなど、恐怖感をあおれば悪徳リフォーム業者に変身。

5) 罪悪感

罪の意識を感じると、議論の適切さなんかより、罪悪感を取り除こうとする方向に傾く。経験者いわく、検察と尋問を繰り返すと、無意識のうちに実はオレがやったのかもしれないという疑惑が芽生えるそうな。そうすると、罪の意識からの逃れたい気持ちが支配的になり、たとえ無実であっても認めることがあるとのこと。