こころの処方箋-III

善行を行う前に・・・善は微に入り 細にわたって行うべし

善行をしたいと思っている人達、何しろ善いことをしていると思っているため一番困るのが、近所迷惑について自覚が薄いこと。例えば、老人施設に訪れるボランティア。親切心から時折、過剰ともいえるサービスをして老人から感謝される反面、甘えの心を与え自立を阻害するほか、ボランティアの人に比べ施設の人は冷たい人ばかりと老人に思わせてしまうので、施設側からも煙たがれる。善が有害にさえなる。
善意でやっている人は、自分が好きでやっているだけで、賞賛に値しないどころか、極めて近所迷惑なことでしかないという自覚を持ってみてはどうか。よほど気をつけないと、逆効果になりかねない。本当に善をしたいのなら、「善は微に入り 細にわたって行うべし」。そうすると、善人に共通する不愉快な傲慢さが少しずつ消えてくる。善悪よりも、「自分の好きなことをさせて頂いている」という気持ちが大事。

対立し共存・・・自立は依存によって裏づけられている

単純に自立と依存は反対と捉え、依存をなくしていくことで自立を達成しようとするのは誤ったやり方。自立は十分な依存の裏打ちがあってこそ、そこから生まれるもの。自立とは、必要な依存を受け入れ、自分がどれほど依存しているかを自覚し、感謝することではないか
依存を排して自立を急ぐ人は、自立ではなく孤立。人生の中には、一見対立しているように見えて、実はお互い共存し、裏づけとなるようなものが意外と多いのではないか。その発見によって生き方の厚みが出てくる。