経営の本質IV

経営とは

京セラ創業者の稲盛和夫さんいわく、「人生の方程式: 結果 = 考え方×能力×情熱」。どんなに能力や情熱があっても考え方がマイナスだと、結果は大きなマイナス。ビジネスモデルが優れているのは必要条件にすぎず、仮にIPOできたとしても、外部要因でたまたま運がよかったという企業も多い。
長期的に成功するには、「経営者の質」以外の何物でもない。事業の根幹となるのは、経営者の徳や志で、とりわけ艱難辛苦の時、従業員の心のよりどころとなる。別名、人徳や社徳とも呼ばれ企業の品格に相当する無限の資産。そういう意味で、経営とはピーター・ドラッカーが唱える「人を通して正しいことを行い、よりよい未来へといざなうこと」。

MBAとは

有段者に与えられる黒帯。黒帯をもらうと、街中に出てちょっとしたいさかいに首を突っ込み、自分の力を試したくなるもの。確かに一般市民と比べると強いかもしれないが、選手権レベルでは参加資格を得た選手の一人にすぎない。それが、日本選手権、世界選手権となるとなおさらで、そこで勝ち抜くにはさらなる精進が必要。MBAとは、ビジネス界選手権へ出場するだけの基礎的体力があると認められた認定状レベルにすぎず、勝ち抜くためにちょっとしたヒントを与えてくれる補助的役割にすぎない。
ケースの読み込みや課題など強制的手法を通して、左脳的科学を中心に形式知化して効率よく学べる場が biz schoolで、そこで育ったかなり未熟な果実または若い芽がMBA、その土壌とも呼べる価値基準はアングロサクソン系に偏っているので、東洋人にはなじまない味であることに留意。

参考

a) トップになるためには: 勝負師・研究者・芸術家の3面

史上最年少名人となり羽生義治さんのライバルでもある谷川浩司さんいわく、「どんなことがあっても勝てるチャンスを見逃さない勝負師としての顔。情報を収集し、的確に分析する研究者の顔。そして、常識にとらわれず、自由な発想でイメージする芸術家としての顔。この3つの顔をバランスよく持つことが大切。」

b) 一流になるには

手塚治虫さんいわく、「(漫画家の卵たちを前に) 君たち、一流の漫画家になりたかったら、一流の本を読んで、一流の映画を見て、一流の音楽を聞きなさい。絵を描くテクニックを身につけることだけが、一流になる道じゃないよ。」

c) 限界を超えるには: 能力は未来進行形

稲盛和夫さんいわく、「できないもの」を「できる」と引き受けて、実際にできるまでやり続ける。不可能から可能を生み出そうという「無茶な背伸び」、それが京セラの技術力を伸ばし、実績をつくり、成功への道筋をつくってくれた。人間の能力とは、けっして決まったものでなく、あくまで「未来進行形」で捉えるべき。現在の能力の2-3割増しの地点に目標を置き、「誰にも負けない努力」を惜しみなく注ぎ続ける。能力を未来進行形で考える姿勢こそ、高く大きな目標を達成していくために最も大切。

d) 出来の悪い社員に対する心構え

  • ある社員の出来が悪いので、どうやって退職させようか考えていた社長いわく、「彼女を面接して、この子はいいと直感して雇ったのは私です。自分の責任で彼女を雇ったんです。だからこそ、彼女が思ったより要領が良くなかったので、彼女を雇った自分の失策に腹を立てていたんです。私は、彼女を雇おうと決めた時、『経営者として雇うと決める限りは、何があってもこの人を愛するんだ』と、決心するのを忘れていたんですね。人間は道具ではないんですから、すぐに「ダメだったらとりかえる」というのでは、経営者としては失格だということに気づいたんです。損得勘定はやめて、愛する決心をしようと。そう決めると不思議なことに、寿退社とかで急に退社していった社員らも許せるようになりました。これまでは、せっかく一人前に育てたのに会社を辞められて大損したと、恨んでいたんです。でも、愛する決心をして雇ったのなら、辞めていくときも喜んで送り出してやるべきなんですね。損得の問題ではなく、そんなことをみんなひっくるめて、経営者としての役割がそこにあるのですから。」
  • One Piece 白ヒゲいわく、「あいつの罪は…海賊船で最もやっちゃならねェ仲間殺しだ…!! 鉄の掟を破ったのさ。おれの船に乗せたからにゃあ、どんなバカでもおれの息子よ。殺された息子の魂は何処へ行くんだ…!! 仁義を欠いちゃあ この人の世は渡っちゃあいけねェんだと、ティーチのバカに教えてやるのが おれの責任だろうがよ…!!!」