キシリトール市場におけるCo-opetition

ビジネスは競争のみで捉えられがちだが、勝つか負けるかの単純なゲームではなく、パイ(市場)を作り出すときプレイヤー同士は協調し(corporation)、パイを分けるときに競争する(competition)。「競争と協調」が共存するコーぺティション (co-opetition) の世界では、自社の製品価値を高めてくれるサポーター(補完的生産者)との協調戦略が重要で、より多く・より長期的な友好関係を築くことで、市場はより大きく成長する。つまり、単一の製品で勝負するのではなく、それに関わる様々なサービスに付加価値をつけて製品群・企業群・生態系として戦った方が有利ということ。経済、技術、コミュニティがボーダレス化し、社会の仕組みがより複雑化する現代では、巨大企業といえども単独では市場全体を動かせないので、i-mode の成功やSBI企業生態系にみられるように、複雑系の理論(全体は部分の総和より大きい+全体には部分には見られない新しい性質がある)を応用してみる価値は十分にある。


今回は、キシリトールをテコに「予防歯科」というビジネスモデルを「歯科医-歯科商社-ガムメーカー-原材料メーカー」の4者間でマルチwin-winを実現した藤田康人氏のサクセスストーリー。歯医者にとって患者数低下をまねきかねない「予防歯科」、ライバル関係を味方に変え、他のサポーター(補完財)を巻き込み2,000億円規模へ急拡大したキシリトール市場の成功の本質は、サポーターとの協調戦略+キシリトール製品群の創出で、戦略上の要点は以下のとおり。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20080115/144680/

ルールの変更(定期検診)

  • 市場規模: 虫歯予備軍=虫歯患者の9倍
  • 基準(治療→原因を除去): 誰にでも分かりやすい虫歯菌の数という指標
  • 固定客: 定期健診によって顧客を長期・安定的に囲い込み

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