なぜバブルは起こったか-形成のメカニズムとその要因分析

バブルの根源=欲望

バブルの根源は「楽して儲けたいとい”欲望”」で、歴史に名を刻むバブルには、その欲望への巧妙で大掛かりなトリックがしかれられ、その舞台で役者らは陶酔的熱病(ユーフォリア)にとりつかれ、我先にと高い階段を上へ上へと駆け上がっていく状況。

バブルの構成要因

舞台・背景(外部要因)
  • 金融状況: 85年のプラザ合意後、大幅な金融緩和が長期間継続(お金がジャブジャブの状態)
  • 円高傾向: 将来の為替差益を織り込むと金利はゼロ=海外でエクイティファイナンス急増、円高自己資本比率を計算上押し上げ邦銀の活動が身軽に
  • マインド: 一人当たりGDP世界No.1(実は急激な円高によるトリック: バブル期GDP成長率(円ベース3割増 vs. ドルベース2倍増)、日本経済への過信・確信
役者(内部要因)
  • 購入者=個人・法人: 身近に成金が多数誕生、財テクに縁のなかった人の欲望までも刺激
  • 資金供給者=金融機関: 大企業の銀行離れにより、新たな収益源を求め過剰な財テク融資合戦
  • 監督者=金融機関監督当局: 本質の見誤り、チェック機能不全


二度にわたるオイルショック円高不況からの早期脱出による日本経済への過信が、過剰流動性と結びつき、資産価格上昇の原動力となって、投資が投資を呼び込み、財テクに縁のなかった人の欲望までも刺激。大企業の銀行離れにより、新たな貸出先を求めていた金融機関の欲望も誘発、儲け話に積極的に加担、時には主導する一方、その欲望を抑える役割の日銀や銀行局も、たとえあやしいと思っても熱病の真の原因を誤診。日本全体が陶酔的熱病(ユーフォリア)にとりつかれ、日本のゆるぎない成長を信じ、我先にと高い階段を駆け上がり、そのあまりのパワーに驚いた日銀や銀行局が処方した解熱剤(15ヶ月で5回の利上げ(2.5%から6%台)+不動産融資の「総量規制」+地価税)でなんとかストップしたものの、気がつけばそこは世界最高峰の頂上だった。しかし、全ての役者を繋ぎ、階段の土台となっていた「土地神話」もこれだけ多数の期待には答えられず、最終的には「寓話」へと変貌。後に待ちかまえていたのは、人類史上最大とも言える急降下斜面。それをどう調整しながら滑り落ちるか、大規模な経済実験が行われた。まずはその経緯から・・・・