生きがい・働きがいの本質-IV

4. 生きがい・働きがいの意味

最後に、生きがい・働きがいについて様々な角度から切り込んだ視点を紹介・・・

1) クオリアの視点・・・脳が感じる生きがいとは

茂木健一郎さんいわく、「脳は常に苦しい刺激を求めている。だから、ハードルが高ければ高いほど、乗り越えられた時の喜びも大きくなる。 予想可能なことと チャレンジングな意外性が混在してこそ、脳は楽しいと感じる。人生を豊かにするには、その組み合わせをどうのように行うか、どのようなポートフォリオを持つかが全て、といっても過言ではない。企業経営でも、安定したビジネスのみ、新規事業のみではダメで、安定した収益源を確保した上で、新しいことにチャレンジするようにバランスが大事。」

2) 創業の視点・・・働くとは万能薬

稲盛和夫さんいわく、「人生は様々な苦難から成り立っている。働くことは、あらゆる試練を克服し、人生を好転させていくことができる妙薬、万能に利く薬。人生の方程式: 人生・仕事の結果 = 考え方 x 能力 x 熱意。私は能力が低かったので、全身全霊を上げ、誰にも負けない努力をしてきた。誰にも負けない努力とは、ここまでやったらOKといったようなゴールではなく、次々と設定される終着駅のないゴールを果てしなく追いかけていく無限の努力。100mを走るような速度で長距離を走り続けるような際限のない努力。様々な苦難に遭遇しながらもその努力を重ねていくと、万能に利く薬を手にすることができる。」

3) 旧5千円札の視点・・・一人前とは、それぞれの容積に見合った水を満たすこと

新渡戸稲造さんいわく、「ここに大小 様々な種類の徳利があるとする。一人前の徳利とは、それぞれの容積に見合った水を満たすこと。同様に、一人前の仕事とは、各自が天賦の才能と力量のあらん限りを尽くすこと。だから、一人前の仕事を図る基準は、各自本人に存在するもので、自分以外に求めるべきではない。」

4) 心理学の視点・・・自己実現とは「自分だけでなく、他の人々とのつながり」

心理学者ユングは、「自我を中心に意識、そして自己が取り囲むと考え、自我が意識の中心に対し、自己は意識と無意識とを含んだ心の全体性の中心」と表現。講義後、「自己というものをもっと具体的に見えるもので説明して」との問に対し、「ここにおられる全ての人、皆さんが私の自己です」と答えたそうな。自己実現ということは、自分だけでなく、他の人々とのつながりを有するものであるかを端的に捉えた表現。
そしてユングいわく、「自己実現 self-realization とは、個人に内在する可能性を実現し、その自我を高次の全体性へと志向せしめる努力の過程。」

5) ブッタの視点・・・因果は未来に向かって自分を投げ出すための根拠として絶対に必要

世の中には色々な考え方がある。この世は、因果で決まっている、運命で決まっている、絶対神が決めている、偶然の産物にすぎないなど。私はいずれの考えにも与しない。それは、人が努力して精進することを否定するから。ただ、私が因果を説くのは、あらかじめ因果によってものごとは決まっているということではなく、人が努力し未来に希望を持ち、自分が自分として立っていくために絶対必要な考え方だから。業や因果というのは、修行者として修行を続け、未来に向かって自分を投げ出すための根拠として絶対に必要だから。だから、因果を信じ、その必要性を説く。

6) スピリチュアルな視点「ツインソウル」より・・・人生の目的とは

人生は、山登りのようなもの。世のため人のために生きることが、正しい登り方のように思われがちだが、どんな山でも登るべき山、送るべき人生に間違いはない。自分が登るべき山を、自分なりの方法で登ればよい。

人生の目的とは、自分の成長のために自分なりの学びを積むこと。他の誰のためでもなく すべては自分のため。「世のため人のために生きよう」などわざわざ考えなくとも、「真に自分にとって価値ある人生を生きよう」と考えれば、それがそのまま世のため人のためにもなる。望ましい生き方とは、真に自分自身を愛しながら生きること。真に自分を愛している人ならば、ごく自然に、他の穂と美とを愛せるに違いない。

7) 地球46億年の歴史・・・生命に試練を与えた「荒ぶる父」地球という舞台での命のリレー

NHKスペシャル 地球大進化いわく、『現在3,000万種を超える多様な生物が暮らす「母なる星」地球。しかし、その背後には数百倍、数千倍の絶滅がある。地球大進化46億年の歴史、それは絶滅の歴史でもある。その絶滅を引き起こし生命に試練を与えたのは、「荒ぶる父」ともいえる地球の大変動。巨大隕石の衝突によって全ての海が蒸発し海底さえも溶け出した灼熱地獄、陸上は3kmの氷で覆われ 海も深さ1kmまで凍りついた平均気温マイナス50℃以下の全球凍結、サンゴの海を襲った大陸移動、そして95%もの生物が滅ぶという生命史上最大の絶滅を引き起すきっかけとなった巨大噴火。生命はいつの時代にも理不尽な絶滅を強いられてきた。人類も例外ではない。類人猿以降、人類は20種の傍系に別れたが、生き残ったのは脳を巨大化させ、多様な言語を身につけたホモ・サピエンスだけ。

「あなた」へと至る生命40億年の旅とは、小さな原始の微生物から始まり、数々の大変動を繰り返してきた地球を舞台とした、気の遠くなるような長い時間をかけた命のリレー。「あなた」の遺伝子は、ミミズと60%、ネズミでは80%、チンパンジーにいたっては98%、バクテリアでさえ40%が同じで、仮に最も近いチンパンジーからやり直しても人類が出てくる確率は限りなくゼロに近い。そんな二度と起こらない偶然の繰り返しの果てに「あなた」が生きている。生命に様々な試練を与えた「荒ぶる父」地球の上に。』

バクテリアの時代、あらゆる新天地を求めて冒険した。手を持ったとき、勇気を出して上陸した。胎盤を持つ哺乳類となったとき、母の愛を手に入れ そのぬくもりを感じた。霊長類へと進化して、コミュニケーションの力を知った。そして、最後に言葉の力を手にした。だから、「あなた」は冒険する勇気と、人を愛し思いやる心を持っている。』

参考:

a) 人間にとって一番大事なものは何か?

日本だと武士の時代は、「腹」。切腹、腹が据わっている、腹を割った話など、精神が腹にあると考えていたから。現代だと・・・「頭」かも。勝ち組=お金=頭なので。では歴史を動かした偉人が多いユダヤ人はどうか?

b) いと高き者の子守歌

(ニューヨーク州立大学病院リハビリセンターロビーに掲げられている詩)

  • 大きなことを成し遂げるために、力を与えて欲しいと神に求めたのに、謙虚さを学ぶようにと弱さを授かった
  • 偉大なことができるように健康を求めたのに、よりよきことができるようにと病気をたまわった
  • 幸せになろうとして富を求めたが、賢明であるようにと貧困を授かった
  • 世の人々の賞賛を得ようとして成功を求めたのに、得意にならないようにと失敗を授かった
  • 人生を楽しもうとたくさんのものを求めたのに、むしろ人生をあじわうようにとシンプルな生活を与えられた
  • 求めたものはひとつとして与えられなかったが、願いはすべて聞き届けられていた
  • 私はあらゆるなかで最も豊かに祝福されていたのだ